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学のない僕が本を読んだ

いろんな本の感想を綴っています。参考にならないものがあるのも悪しからず。

【感想】いつまでもショパン(中山七里)ネタバレなし

 中山七里さんの「いつまでもショパン」を読みました。中山七里さんの作品は、長編であっても一気に読ませてしまう力がすごく、本作品も長編でありながらノンストップで読んでしまいました。

いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

 

内容(「BOOK」データベースより)
難聴を患いながらも、ショパン・コンクールに出場するため、ポーランドに向かったピアニスト・岬洋介。しかし、コンクール会場で刑事が何者かに殺害され、遺体の手の指十本がすべて切り取られるという奇怪な事件に遭遇する。さらには会場周辺でテロが頻発し、世界的テロリスト・通称“ピアニスト”がワルシャワに潜伏しているという情報を得る。岬は、鋭い洞察力で殺害現場を検証していく!

 

 中山七里さんの作品には岬洋介という人物がよく登場します。まあ、ミステリーにおける探偵役のような人物です。

 説明書きにおいても岬洋介が主人公のような書かれ方がしていますが、本作品の主人公はポーランド人のヤン・ステファンスという人物です。

 「ショパン・コンクール」というのはポーランドで開催される古くからある国際コンクールで、実際には「ショパン国際ピアノコンクール」という名称のようです。

 

 ショパンポーランド出身であることにポーランドの人々は誇りを抱いていると同時に、「本当のショパンというのはポーランド人にしか分からない」という思いを持っています。

 音楽、というのは楽譜を見てそのとおりに演奏するのではなく、その楽譜が書かれた背景を考え、作者が何を伝えたいのかを解釈し、演奏へ落とし込んでいきます。

 つまり、ショパンの作った音楽は、真の意味ではポーランド人にしか理解できず、 それゆえ、ポーランド人以外の演奏するショパンは、まるでショパンではないかのような扱いをされます。

 

 さて、本作品の主人公であるヤン・ステファンスも同じような考え方をしています。

 しかし、そこに綻びがあるとするならば、ヤンの家系は代々ピアノをしていたものの、ショパン・コンクールでは優勝できず、その歴代の思いというか願いというか執念を一身にヤンが引き受けているということです。

物心がつく前からピアノを始め、すべてのものを犠牲にしてピアノに打ち込みます。

 そして、いよいよショパン・コンクールが始まる、というときに、その人生に疑問を持ってしまいます

 ヤンは自ら進んでピアノの道に進んだわけではなく、むしろピアノ以外の選択肢がなかったというような人生を歩んできています。そして、これからもそうなることでしょう。

 

 本作品は、そんなヤンの人生の転換を描くような作品になっています。作品の中でその心情の変化が劇的に描かれており、やはりミステリーではありながら「さよならドビュッシー」と同様、熱い思いがこみ上げてきます。

 

 中山七里さんの作品は長編でありながら、一気に読ませてしまう力強さというか引き込む力がすごく、これも一気に読み切ってしまいました。

 ぜひ読んでみてください。

 

中山七里さんの作品感想

【感想】さよならドビュッシー(中山七里)ネタバレなし - 学のない僕が本を読んだ

 

 ショパンコンクールとは

ショパンの故郷であるポーランドの首都ワルシャワで5年に1回、ショパンの命日である10月17日の前後3週間にわたって開催される。ショパンは、第一次世界大戦で解放されるまで他国によって虐げられたポーランド人の誇りである。大戦後ポーランド人は、ショパンの名を冠した国際ピアノコンクールを、ショパンの命日を中心とした期間に開催することにした。
現在、国際音楽コンクールは数多く開催されているが、このショパン国際ピアノコンクールは現在も続く国際音楽コンクールの中では最古のものである。過去の入賞者には世界の巨匠が名を連ねる。第二次世界大戦中に開催の中断があった。課題曲は、いずれのステージ(予選や本選)においてもすべてショパンの作品のみの演奏が義務付けられている。

ショパン国際ピアノコンクール - Wikipedia