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学のない僕が本を読んだ

いろんな本の感想を綴っています。参考にならないものがあるのも悪しからず。

【感想】6時間後に君は死ぬ(高野和明)ネタバレなし

 13階段でデビューした高野和明さんの短編集である「6時間後に君は死ぬ」を読みました。

6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)

6時間後に君は死ぬ (講談社文庫)

 

内容(「BOOK」データベースより)
6時間後の死を予言された美緒。他人の未来が見えるという青年・圭史の言葉は真実なのか。美緒は半信半疑のまま、殺人者を探し出そうとするが―刻一刻と迫る運命の瞬間。血も凍るサスペンスから心温まるファンタジーまで、稀代のストーリーテラーが卓抜したアイディアで描き出す、珠玉の連作ミステリー。

 

 本作品は「6時間後に君は死ぬ」をはじめとした短篇集となっています。ほかには「時の魔法使い」、「恋をしてはいけない日」、「ドールハウスのダンサー」、「3時間後に僕は死ぬ」といった作品が収録されています。

 どれも短編ではありながら設定がよく練られていて、短いながらも非常に1つ1つと満足感が大きい作品となっています。

 

 「ドールハウスのダンサー」以外の作品には「山葉圭史」という青年が登場し、彼が鍵を握っているのですが、個人的には彼が登場しない「ドールハウスのダンサー」が一番好きになりました。

 これは、ダンサーを夢見た女性の話で、彼女の夢が叶うかどうかは読んでからのお楽しみですが、夢を追いかけるって大変ですよね。

 ダンサーっていうのがまた難しい職業で、諦めるタイミングがなかなか掴めないみたいなんですね。例えば、「プロ野球選手になりたい!」っていう夢であれば、高校卒業時点で大学からも声がかからないとけっこう厳しいと思いますし、大学に行って社会人から声がかからなければ、そこで夢は終わってしまいます。

 しかし、ダンサーというのは自分でオーディションを受けに行って、合格すれば仕事がもらえるし、不合格ならまた別のオーディションを受けに行くという形で、「いつ諦めるのか」の判断が難しいんですね。

 「ドールハウスのダンサー」の主人公も最終オーディションには残るけど、最後の合格を手にすることができない、という状態です。

 彼女の行方は物語を読んでからのお楽しみにしておきますが、夢を追いかけ、敗れた現実をどう受け取るかで今後の人生を楽しめるかどうかが変わってきますよね。

 彼女が特別というわけではなく、僕たちも大なり小なり夢を諦めた人のほうが多いと思います。どこかで「自分は特別だ」、「自分は選ばれた人間だ」という思いを抱きながらも、大人になるにつれて現実が見えてくるというか、諦めがつくというか。

 ただ、それを乗り越えて初めて大人になれるんだろうな、と最近三十路を間近にして思うようになりました。

 

 さて、どの短編もちょうどいい感じの謎が散りばめられ、あっという間に読みきってしまうこと間違いないです。

 

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