学のない僕が本を読んだ

いろんな本の感想を綴っています。参考にならないものがあるのも悪しからず。

【感想】情報を200%活かす 池上彰のニュースの学校(池上彰)

【これでニュースへの接し方が180度変わる!】

 元NHKアナウンサーで、最近はテレビで引っ張りダコの池上さんが「ニュースに対する接し方」を書いたものとなっています。

 

内容(「BOOK」データベースより)
日々のニュースや情報にどのように接すれば、著者のように博覧強記で説明上手になれるか?必要な基礎知識や教養、新聞やネット、本などの使い方、1日の過ごし方などについて「池上式」を徹底伝授。佐藤優氏との対談では、「情報」をめぐる2人の意外な共通点が浮かび上がります。『池上彰のお金の学校』『池上彰の政治の学校』に続くシリーズ第3弾! 

 

 「どのようにニュースを見るか」ということに主題を置いている本書ですが、その中でも2つ、ご紹介いたします。

 

①そこにいる人を意識すること 

 歴史の勉強をする際、歴史を「文字」として認識していては、なかなか記憶に残りません。「645年に大化の改新がありました」とか「1914年に第一次世界大戦が始まりました」と教わり、その内容まではあまり突っ込まないと思います。

 しかし、重要なのは「大化の改新」や「第一次世界大戦」とはどういうもので、「なぜ」「どういう時代背景で起きたのか」ということであり、そこを理解したほうがより記憶に定着します。

 そして、どの歴史的事件も「人間」が起こしています。「人間」が当事者です。そして、当時の人々がどう考え、どう生きたか、なぜそのような事件を起こしたのか、起こさざるを得なかったのかを考えることが大事です。

 池上さんは本書において

単にニュースを解説するだけでは、それで終わってしまいます。そこに、人間の要素を入れると、人は興味深く聞いてくれます。(P.60-61)

と書いており、ニュースを聞く際にもそうやって当事者である人たちを想像することでより頭に入りやすいと述べています。

 

②見出しや表現に振り回されない

 「見出し」は分かりやすく書かなければなりませんが、分かりやすくしすぎて事実が伝わらない可能性があります。また、表現の仕方でそのニュースはポジティブにもネガティブにもなります。

 新聞とは本来、事実を僕たちに伝える機関であるにも関わらず、新聞社自身が発生した事実に対して独自の色、価値観を付け加えるため、しばしば正確に伝わらないこともあります。

 池上さんは例として、東日本大震災で発生した原発の報道について

15日になって、3号機付近で1時間あたり400ミリシーベルト放射線量を記録すると、毎日新聞の夕刊1面は、「高濃度放射能漏れ」を見出しにしました。一方、読売新聞は、「超高濃度放射能が拡散」でした。(P.170)

と、毎日新聞と読売新聞の使った見出しについて言及しています。「何ミリシーベルトからが超高濃度で、何ミリシーベルトまでが高濃度か」という基準がない以上、どういう表現をするかは自由ですが、やはり、その言葉の印象に惑わされてはいけません。この場合、「400ミリシーベルトとはどの程度危険なのか」を具体的に説明しているものを探し、自分で判断するしかありません。

 

 僕たちはネット経由にしろ新聞経由にしろ、世の中の情報をニュースから入手します。ニュースの見方が変われば世の中の見方が変わります。ぜひ、手にとってみてください。